赤い眼
あたりを見渡すと誰もいなかった。
気づいたら電車の中で寝ていたようだ。
午後23:00。
外はもう真っ暗でガラスに映るわたしはまるで別人のような顔をしていた。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
ギーーーーーー、キキーーー
ガタンゴトン、ガタンゴトン
ギーーーーーー、キキーーー
オレンジ色したふかふかのシート。
右も左も誰もいない。
このままどこか別の異空間に連れて行かれるんじゃないかって錯覚する。
どうやら疲れていたようだ。
荷物も重たいし、足は鉛のように思いし。
そうしているうちに少し寂しくなって、誰かいないかと探し始めた。
辺りは真っ暗。電車の光だけが煌々と光っている。
隣の車両に目をやると優先席に老婆がいた。
なぁんだ、人、いるじゃないか、
灰色の髪に白髪まじりの、頬はこけてまるで羅生門に出てくる老婆のような人。
?
何かブツブツ唱えてる。
なんだろう。。